価格も非常に魅力的な名刺

遊びについても同様だ。 近くの映画館をわが家のシアタールームのように楽しむ。

ゲームやカラオケも、友だちとのおしゃべりも、深夜までオープンしているところでとことん楽しむのだ。 DVDやビデオテープもレンタルビデオショップに″預けてある″と思えばいいし、CDも″レンタル″で必要なときだけ楽しめばそれでいい。
つまり、現代の先端をいくライフスタイルを謳歌する人々は、かつて家の中に取り込んでいた機能を″外在化″させ、いうならば、街全体が、自分の生活空間であるという発想をもっているのである。 こうしたライフスタイルを身につけた世代が求めるマンションの条件は、バスタイムや睡眠などをゆったり楽しむことができること、そして、周辺環境が十分に便利であることだ。
それまで、超都心の高級マンションとともに、盛んに供給されていたワンルームマンションは、まるでビジネスホテルの一室のようで、こうしたニーズを十分に満たすものとはいえなかった。 ファミリー向けマンションでもなければワンルームマンションでもない、ましてや高級な億ションでもない、それまでになかったジュニアファミリー向けマンションという新しいマンションのカテゴリーを創生したDの創業は、平成6年9月であることは前に述べた。
創業当時の社名はDではなく、「T建設株式会社」と称していた。 いささか、前時代的な響きを感じさせる名称だが、この名称に、Nは格別の思いを込めていたのである。
実は、Nはそれ以前に、自らが創業した不動産企業を倒産させた経験をもっている。 だが、一敗地にまみれはしたが、Nはまだ、30代に足を踏み入れたばかりだった。
なんとかして再生したい。 再起したい。
「中興」というネーミングには、そうしたNの、不挑不屈の思いが込められていたのだろう。 T建設を設立後、Nが手がけていたのは、他社の物件の販売代行などだった。

経済的にも、社会的なポジショニングからも、マイナスからのスタートだ。 販売代行などでゴツゴツと地歩を固めていく。
それも一つの選択肢だろう。 だが、Nはもともと、人一倍の行動力、ポテンシャルの持ち主である。
行く先々で、「都心で、ワンルームよりは広いマンションが欲しい。 でも、ファミリータイプよりは狭くてもいい」というニーズが明確な輪郭をともなって見えてくると、思いきった攻めに出たい気持ちが日増しに強くなってきた。
そして、どうしてもその市場で勝負をしようと決意するにいたる。 こうしたNの気持ちの推移は、容易に想像できる。
実は、50平方メートル以下のマンションは住宅金融公庫の融資対象外になる。

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