ゴミ屋敷への驚きと期待
牛乳パックのリサイクル回収を行う製紙メーカーはほとんどないような状況でした。牛乳パックのリサイクル運動が全国に広がるにつれて回収量が増えてきたため、製紙メーカーが設備を整え、現在では一定の量がまとまると回収業者も引き取ってくれるようになりました。
全国牛乳容器環境協議会によると、98年度の回収率(家庭系のみ)は20.4%となっています。牛乳パックを使っているのは「家庭紙メーカー」と呼ばれる製紙メーカーで、主としてトイレットペーパーの原料として利用しています。
牛乳パックの原料はほとんど純粋なパルプです。製紙原料としては品質が高く、牛乳パックを使ったトイレットペーパーはバージンパルプ製品と遜色のないものになります。
回収された牛乳パックを使った製品には、牛乳パック再利用マークがついています。トイレットペーパーはかつて、ほとんど古紙を原料としたものでした。
牛乳パックを再生利用した製品のマーク(牛乳パック再利用マーク)し、古紙といっても、印刷会社から発生する上質のものが中心です。ところが、大手メーカーのバージンパルプ製が年々シェアを拡大し、いまではほぼ半分近くにまで上がっています。
リサイクルを進めるためには、消費者が再生品を積極的に利用することも必要です。消費者の行動や世論が変われば、メーカーの生産も変わっていくのは、最近の塩化ビニルラップからポリエチレンラップへの切り替えの動きでも、明らかです。
トイレットペーパーのばあい、古紙とバージンパルプの品質は、ほとんど変わりません。トイレットペーパーにまでバージンパルプを使うのは木材資源の浪費ではないでしょうか。
一般に、「再生紙は高い」という誤解があります。横浜市の市民団体が約1.5倍の差がありました。
再生紙のほうが、製造原価が安いのだから、価格が安いのは当然だと、製紙メーカーでは話しています。「再生紙のトイレットペーパーは質が悪い、価格が高い」というのは明らかに誤解です。
ペットボトルは、リサイクルルートがほとんどありませんでした。現在は、「容器包装リサイクル法」によって、自治体が分別収集したものは事業者が引き取ってリサイクルしなければならなくなりました。
そのため、業界が再生工場を整備し、繊維製品などの原料として再利用するシステムができてきました。ペットボトルの分別収集をおこなっている自治体は、空き缶や空きびんにくらべると少なく、98年12月末の実施市町村は31%にとどまっています。
そのほか、一部のスーパーや生協が店頭で回収している例があります。東京都のばあいは、スーパーやコンビニの店頭に回収容器を設置してもらい、回収を都がおこなう方式(東京方式)を採用しています。
回収されたペットボトルは、細かく砕いてブレーク状に加工し、合成繊維、じゅうたん、梱包材などの製品の原料となります。ペット樹脂はもともと合成繊維として使われていたので、繊維製品に再生きれるケースが多くなっています。
ちなみに、テトロンという製品名の合成繊維はペット樹脂が原料です。再利用品でつくった舟(底の浅い入れ物)に載せて売られていました。
竹や木には防腐効果があります。使用後はごみとして捨ててもすぐ土になり、風呂の焚き付けにもなる、自然にやきしい容器でしたが、いまでは、ほとんどがプラスチックに代わってしまいました。
プラスチックトレーの多くは、ポリスチレン樹脂を発泡させてつくられています。こうした発泡スチロールの特長は、軽くて成型しやすく、断熱性に富み、値段も安いという点です。
この特長が、処理するばあいには、かさ張って収集効率が悪いという欠点になります。また、埋め立てても分解せず、高カロリーのため古い焼却炉では炉を傷める原因となるなど、適正な処理がなかなか困難で、処理費が割高になる、やっかいなごみの代表格の1つにあげられています。
発泡スチロールトレーは、食品の物流や販売の効率を上げることに大きく役立ってきたことも否定できませんが、ごみ問題や環境問題の視点からは、使用の抑制を考える必要があります。また、リサイクルシステムの確立も急がれます。
大手スーパーや生協などではすでに店頭に回収容器を設置して、回収しリサイクルしています。回収したトレーは溶解してペレット化し、プラスチック製品の原料として使われているほか、一部のメーカーではトレーに再生しています。
環境対策が進んだヨーロッパでは、日本のスーパーのように、果物や野菜がトレーに入れられ、ラップでくるまれて1個、2個で売られているようなことはありません。現在は、発泡スチロールトレーを分別収集している自治体はほとんどありません。
「容器包装リサイクル法」によって2000年4月から、ペットボトル以外の「その他のプラスチック容器」として、自治体が分別収集したばあいは事業者が引き取ってリサイクルすることが義務づけられました。今後、トレーを含めた容器全体のリサイクルが進むことが望まれます。
プラスチックを燃やすことも立派なリサイクル(サーマルリサイクル)などという主張は、3R(減らす、再使用、再生利用)の趣旨にかなうものではないといわざるを得ません。そもそも自然のなかで分解されないプラスチックは、使用を抑制することが主要な対策にならなければならないでしょう。
家庭からの古紙の回収ルートには、集団回収、チリ紙交換、新聞販売店回収などがあります。製品に預り金を上乗せして販売し、使用済みの製品を販売店などに返すと預り金が戻ってくる制度です。
日本のビールびんの保証金制度と同じです。アメリカの一部の州やヨーロッパの一部の国では、飲料容器のデポジット制度を法律で義務づけています。
飲料容器だけでなく、いろいろな製品への適用が考えられます。たとえば多くの自治体が困っている問題に、自動車の不法投棄があります。
鉄ぐずの価格が下がり、廃車にすると処理費をとられるための現象ですが、この解決のためには自動車へのデポジット制度の導入が有効でしょう。実際、ノルウェーやスウェーデンでは、すでに導入されています。
日本では年間700万台もの自動車が販売され、500万台以上が廃車になっています。販売時に5万円程度のデポジットを課せば、年間3500億円の預り金が集まります。
仮に使用期間を、6年間寸金利を1%とすると、この資金をスクラップ業者の処理費にあてればよいのです。それでも処理費が不足するなら、消費者に預り金を全額は返さず、必要な費用を差し引いて戻す、課徴金制度との組合せも考えられます。
消費者への返還金が、スクラップ業者や廃車引取り業者にまで運ぼうと思わせるだけの金額であれば、路上放棄車はなくなるでしょう。乾電池や蓄電池などの有害物質と、現時点で回収が困難な製品について、デポジット制度の適用を考えてみてもよいのではないでしょうか。
経済のしくみを見直していくためには、企業の責任がますます重要になってきます。これまでのように、法律で決められたことだけを守っていればよいというわけにはいかなくなってきているのです。
とくに国際社会では、すでに環境対策を万全に講じていかないと生き残れなくなりつつあります。存続をかけて環境問題に取り組まざるをえない状況に置かれているといっても、過言ではありません。
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