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世帯数の23割合では四四パーセントの高齢者世帯が、全世帯の貯蓄額の約六〇パーセントを持っていることになります。
ただし年間収入は、六〇歳代で五六六万円、七〇歳以上で四六〇万円と、高齢者世帯は平均(六三〇万円)以下です。
「ストック(資産)はあるが、フロー(収入)がない」と指摘される点です。
さらに高齢者世帯の持ち家率は九〇パーセント以上で、五九歳以下の持ち家率(加重平均)の七三パーセントを大きく上回っています(注一家計調査の対象は二人以上世帯)。
一方、住宅ローンを中心とした負債額は、四〇歳代で一世帯当たりの平均が八八一万円と、ピークに達していますが、六〇歳代では一六五万円、七〇歳以上では八三万円と急減しています。
高齢者世帯は、住宅ローンの返済もほとんど終わっているので、純貯蓄額(貯蓄マイナス負債)は六〇歳代、七〇歳以上でそれぞれ、全世帯平均の一・七から一・九倍に達しています。
その結果、全世帯の純貯蓄額の約八〇パーセソ、トが高齢者世帯に集中していることになるのです。
以上は、いわば「自主申告」による数字ですが、ここからも「お金持ちは、高齢の持ち24国と家計のバランスシート家世帯」という実態が浮かび上がってきます。
国の借金は九〇〇兆円に迫る家計がコツコツと貯蓄を積み上げる一方で、国や地方の借金も積み上がっています。
二〇一〇年末に閣議決定した国の平成二三年度予算によれば、公債(普通国債)残高は年度末(二〇一二年三月)には、六六八兆円程度に達すると見込まれています。
また国と地方を合わせた長期債務残高は、八九一兆円程度に達する見込みです(「我が国の財政事情(二三年度予算政府案)」財務省)。
国債残高が六〇〇兆円だの、「国と地方の長期債務」が九〇〇兆円だのといわれても、ピンときませんが、金融資産と同じように五〇〇〇万世帯で割れば、一世帯当たりそれぞれ一二〇〇万円、一八〇〇万円になります。
金融資産の保有が、高齢の持ち家世帯に偏っているという実態を見てきましたが、こちらはそのような区別なしに、すべての家計にのしかかってきます。
特に、若年層や将来世代に負担を先送りすることは、大きな社会問題となっています。
平成二三年度予算(当初)の総額は九二兆円ですが、歳出内訳は社会保障関係費の三一
25パーセントと国債費の23パーセントで、過半を占めます。
歳入内訳を見ると、公債金四八パーセント、税収四四パーセソトで、税収よりも多い四四兆円が国債発行で賄われているのです。
これを家計に割り振れば、一世帯当たり八八万円の借金の増加になります。
家計の金融資産の内訳さて、家計の金融資産の内訳ですが、日本では「現金・預金」の比率が五〇パーセント以上と、際立って高くなっています。
これは個人金融資産の残高が一四〇〇兆円に達した一九九九年頃から、先進諸国における資金循環の国際比較などで指摘されてきました(日本銀行調査統計局「資金循環統計の国際比較」二〇〇三年一二月)。
先進諸国の間でも、イギリスやカナダは、保険・年金準備金の割合が四〇から五〇パーセントと高く、またドイツやフランスでは現金・預金の割合が三〇パーセント前後と比較的多くなっているなど、それぞれに特徴があります。
家計の金融資産の構成割合は、各国の金融システムや国民感情に密接に関連しているようですが、そのなかでも、日本と米国は両極端のように思えます。
日本では、五〇パーセント以上が現金・預金で占められていると先に述べましたが、米国と家計のバランスシート国では現金・預金の占める割合はわずか一〇パーセント強です。
五〇パーセント以上が債券、投資信託および株式・出資金(以下、「株・債券」)によって構成されています。
日本家計の株・債券の比率は一〇パーセント強ですので、日米で、現金・預金と株・債券の比率が、ほぼ逆になっているのです。
残りの三〇パーセント強の内訳は日米とも、おもに保険・年金準備金です。
「安全資産」の行き先日本では、金融機関の預金も「一人一行一〇〇〇万円までの元本とその利息」以上は保証しないという「ペイオフ」の解禁後も、現金・預金の家計金融資産に占める割合は落ちていません。
日本の家計の「安全資産」指向には、根強いものがあります。
株・債券の投資資産は、MMFを含む短期証券以外は、市場の価格変動の影響を大きく受けます。
これに対して現金・預金は、すべての元本が保証されなくとも、元本が市場変動の影響を直接受けないという意味で「安全資産」の代表格(間接的な影響として最も怖いのは、インフレによる実質的な価値の目減り)です。
では、「安全資産」の大部分を占める八〇〇兆円にものぼる「預金」は、銀行や郵便局へ預けられた後、どのように使われているのか考えたことがありますでしょうか。
金融機関に預けられた家計のお金は、高度経済成長期までは大部分が企業への融資にまわっていました。
それが一九九〇年代のバブル崩壊後は一転して、郵便貯金に限らず銀行の預金でも、国債や地方債の購入にまわっています。
結局、国や地方自治体の借入にまわっているのです。
二〇〇九年の年末には、「国の借金家計の貯蓄頼み限界」という記事が、日本経済新聞の一面トップに掲載されました。
記事では、政府の長短期公債(以下「国債」)の残高が二〇〇九年九月末で八二〇兆円になり、このうち、預金金融機関(銀行・郵貯)が四一パーセントの三三四兆円を保有し、二〇パーセントに当たる一六八兆円が保険・年金準備金の運用に充てられている点を指摘し、次のように述べています。
政府の巨額債務は家計が支えてきた。
日本経済研究センターの試算では、家計の(国債(引用老))実質保有分は五〇〇兆円前後と全体の六割を占める。
だが「元手」である家計の資産は伸び悩み、国債の買い余力が衰えはじめている。
二〇二〇年頃には「買い余力」はなくなる計算になる。
国と家計のバランスシート日米の金融システムと国債の消化方法日本の金融は、家計が銀行や郵便局などの金融機関へお金を預け、それが企業への貸付や国債などの購入にまわる間接金融が中心です。
しかし近年の「貯蓄から投資へ」という政府のキャンペーンは、日本もアメリカを模範に、家計が株や債券を企業から直接買う、直接金融中心のシステムにしようというものでした。
金融機関においても、預金集めと貸付中心の「商業銀行」業務から、株や債券の売買の仲介、あるいは企業の新株発行やM&A(企業合併や買収)のアレンジなどをして稼ぐ「投資銀行」業務に比重を移そうというものです。
ところが「安全資産」指向の国民(家計)は、一向にリスクを取りたがりません。
「直接」「自己責任」で株や債券を買うよりも、銀行や郵便局に責任を持って「元本保証」でお金を預かってほしいのです。
間の悪いことに、ちょうど退職の時期が重なった団塊の世代のなかには、政府のキャンペーンを真に受けて、退職金を丸のまま株や投信に投じて、リーマン・ショックに端を発する世界同時不況で、大損害を受けた人もいます。
日本では今のところ、銀行や郵便局にお金を預けた人の方がうまくいっているようです。
金融撥関から間接的に国債にまわった家計の貯蓄は、デフレが進行している限りは目減りしません。
アメリカでも今回の不況脱出のために、大規模な景気対策を行なった結果、財政赤字が膨らんでいます。
しかしアメリカの国債は、半分以上を日本や中国などの外国が買っていて、アメリカの金融機関(元手は家計)や家計の直接保有は合わせて二割以下でした。

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